2026年6月25日

私たちは日々、さまざまな不安を抱えて生きています。仕事、お金、健康、人間関係、将来の社会情勢。挙げればきりがありません。しかし、不思議なことがあります。同じ状況に置かれていても、不安になる人とそうでない人がいるのです。
将来が不確実であることは両者に共通しています。それなのに反応は大きく異なります。 この違いはどこから生まれるのでしょうか。
人間は、過去の経験で蓄積した経験をもとに、普段絶えず予測をしながら生きています。また、人間は通常、感情を自分の意志で生み出すことはできません。何もない状態で楽しい気持ちになってみよう、悲しんでみようとしても、そのような気持ちになることはできません。感情は予測が外れた時に発生します。日々の家庭での食事にいつまでも感動している人はいません。美味しいとは思いますが、特別な感情は発生していないはずです。悲しいこと、腹が立つことも同じで、いずれも予測が外れた時に発生しています
古来から、人間は生き延びるために危険を予測し続けてきました。予測外れと感情が連動している理由は、生存確率を高めるためです。これは、記憶とも関連します。

未来は誰にもわかりません。明日の天気すら完全には予測できないのですから、1年後や2年後を正確に見通すことなど不可能です。それにもかかわらず、私たちは「悪い結果になるかもしれない」という想像・仮説を事実のように扱ってしまいます。
「失敗するかもしれない」 「嫌われるかもしれない」 「お金がなくなるかもしれない」
こうした考えは、すべて未来に対する予測です。そして予測である以上、当たる保証もありません。
不安が強い人は、さらに予測しようとします。「もっと考えれば安心できるはずだ」と思うのですが、実際には、予測する→不安になる→さらに予測するというループに入りやすくなります。そのため、不安を完全になくそうとして予測を続けるよりも、「これは予測であって事実ではない」と気づくことが大切です。
不安が出た時は、「これは事実なのか、それとも予測なのか」と分けて考えるだけでも、巻き込まれにくくなります。
今回は、不安と予測(認知)の関係について触れましたが、他にも、それらは、行動、身体と密接な関係があり、どこから介入した方が効果的かは、人によっても、疾患によっても異なります。 不安の程度が強すぎたり、生活に大きな支障が出ている場合は、お気軽にご相談ください。
福岡市早良区西新4‐8‐23
ひとやすみこころのクリニック西新院
医師 溝口