TMSについて(磁気刺激による治療がなぜうつ病に効くのか)|福岡市早良区西新の心療内科・精神科|ひとやすみこころのクリニック西新院

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TMSについて(磁気刺激による治療がなぜうつ病に効くのか)

TMSについて(磁気刺激による治療がなぜうつ病に効くのか)|福岡市早良区西新の心療内科・精神科|ひとやすみこころのクリニック西新院

2025年11月13日

TMSについて(磁気刺激による治療がなぜうつ病に効くのか)

 当院は2025年7月に開院し、うつ病に対するTMS(経頭蓋磁気刺激療法)を自費診療にて提供しております。 TMSを検討されている方は、電話でのご相談もしくは診察での直接のご相談をおすすめします。 詳細は厚生労働省の情報もご参照ください。

 さて、磁気刺激を反復的に特定部位にあてるとなぜうつ病に効くのか。

 実はそのメカニズムはいまのところはっきりしていません。ただし、以下のような作用で効果がでているのでは、と考えられています。

① 脳の神経回路の直接的な調整により、うつ病に関連する脳領域の機能異常を改善

うつ病では左背外側前頭前野(DLPFC)の活動が低下して感情調整や意欲、認知機能が損なわれ、右DLPFCや前帯状皮質、扁桃体が過剰に活動してネガティブ感情や反芻思考が増強されると考えられています。そのため、TMSの高頻度刺激(10Hz以上)を左DLPFCに与えると興奮性が高まり神経活動が増加し、低下していた機能を補正するとともにシナプス可塑性(長期増強)を誘導して神経回路を正常化すると考えられています。

参考文献:Lefaucheur et al. (2020) Clinical Neurophysiology (国際ガイドライン:高頻度左DLPFC刺激はうつ病に対して「確実な効果あり」と最高ランク評価)、 George et al. (2010) Arch Gen Psychiatry (高頻度左DLPFC刺激の大規模臨床試験のもとになる論文) 、Pell et al. (2011) Biol Psychiatry (うつ病患者で低下している脳の可塑性がrTMSで正常化することを証明)

②神経伝達物質や内分泌ホルモンへの影響

 TMSはドーパミンの放出増加(中脳-辺縁系)、セロトニン系の調整、脳由来神経栄養因子(BDNF)の増加による神経新生・シナプス修復、視床下部-下垂体-副腎軸(HPA軸)抑制によるコルチゾール過剰の是正といった神経伝達物質・内分泌ホルモン面の変化も引き起こすと考えられています。

参考文献:Pogarell et al. (2006) Biol Psychiatry (左DLPFC刺激でドーパミンが実際に増えることをPETで証明)、 Zhao et al. (2018) J Affect Disord(メタ解析) (rTMSでBDNFが上昇することを複数の研究で確認) 、Baeken et al. (2014) Neurosci Lett (ストレスホルモン(コルチゾール)の異常が正常化)

 臨床的には2008年にアメリカ食品医薬品局(FDA)が薬物抵抗性うつ病治療として承認し、約50%の患者が反応、30%が寛解を示し、効果は6〜12ヶ月持続(維持療法で延長可能)すると言われています。また 薬物療法が全身作用で副作用(眠気・体重増加・性機能障害)が多く2〜6週間で効果が出るのに対し、TMSは局所的で副作用が軽度(頭痛・刺激部位違和感程度)かつ1〜2週間で効果が出現しやすいとも言われています。

福岡市早良区西新4-8-23
ひとやすみこころのクリニック西新院
院長 武藤

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