2026年1月23日

20世紀後半にイギリスのローナ・ウイングという研究者・臨床家が、自閉症スペクトラム(連続体)という考えを提唱しました。スペクトラムとは、グラデーションがあって、弱い~強いまでなめらかにつながっていることを指します。
ウイングは、ASDの特徴を三つ組の症状(コミュニケーションについての症状、社会性についての症状、想像力についての症状)としてまとめました。これは現在の臨床でも特に重要と考えられており、現在の診断基準にも大きな影響を与えています。
ウイングは、ASDの人は「見たり触ったりできず、出来事の流れから推定しなくてはいけないものの理解や対応に問題がある」といっています。

今回は、三つ組の症状の中から、ASDにおけるコミュニケーションの問題についてお伝えしようと思います。
・話し言葉の遅れ、あるいは異常。
幼少期にはオウム返し、人称代名詞の混乱など。成人期には過度に礼儀正しく堅苦しい、繰り返しが目立つ、一方的な会話など。聞いている人の反応のいかんを問わない。
・話し言葉の理解の問題。
多義語・曖昧語の理解の困難、言葉を字義どおりにとらえる、冗談やからかいへの理解のずれ。
・口調と音量調節の異常
・非言語的コミュニケーションの問題。仕草や表情などを適切に表出・理解するのが困難。
ここに記載したものの中には、書き言葉は含まれていません。知能が平均以上のASDの人は、書き言葉は話し言葉に比べてずっと得意であることが少なくありません。一方、会話の当事者になると困る場面が出てきます。
一般に書き言葉のほうが、省略や曖昧さが少なく、言語としての情報量は多いです。一方、話し言葉はその省略を、表情、仕草、声の調子などで補って情報量を増やします。また、会話は複数を相手にすることも多く、複数の文脈を同時に判断しなければなりません。このあたりは、上述のウイングの指摘が正にあてはまります。
今回は、ASDのコミュニケーションの特徴について触れました。自分の特性を知り、整理して今後の対処を考えたいなどの思いをお持ちの方は、お気軽にご相談ください。
ひとやすみこころのクリニック西新院
福岡市早良区西新4-8-23
医師 溝口