2025年12月11日

診察の場でよくいただくご相談のひとつに、「妊娠しても薬は大丈夫ですか?」というご質問があります。赤ちゃんへの影響を気にして服薬を控えたいと思う方も少なくありません。しかし、自己判断で薬をやめることで、お母さんの体調やメンタルが不安定になり、その結果として赤ちゃんに悪影響が及ぶこともあります。特に妊娠期や産後は気持ちの落ち込みや不調が起こりやすく、急な断薬は大きなリスクとなります。主治医と相談しながら、薬を続けるかどうかを慎重に検討してみましょう。
授乳中の薬についても、「母乳をあげてはいけない」と一概に考える必要はありません。母乳に移行する薬の量はごくわずかで、赤ちゃんに与える影響が小さい薬も多くあります。不安を抱えたまま悩むより、まずは主治医に相談してください。
参考になる資料として、日本産科婦人科学会と日本精神神経学会が共同で作成した「こころの不調や病気と妊娠・出産のガイド(一般の方向け)」があります。妊娠前から妊娠中、出産後まで幅広い場面の疑問にQ&A形式で答えており、専門家だけでなく当事者の声も反映された、分かりやすい内容となっています。
「こころの不調や病気と妊娠・出産のガイド(一般の方向け)」はこちらから

このガイドに「必ず従わなければならない」というわけではありませんが、信頼できる情報を得るための手がかりとしてとても役立ちます。妊婦さん本人はもちろん、ご家族や周囲の方にとっても有意義な情報がまとめられています。
妊娠・出産の時期にこころの不調や病気を抱えている場合、適切な知識と支援が欠かせません。このガイドが、皆さんが安心して選択できるための助けになれば幸いです。不安な点や疑問があれば、お気軽にご相談ください。
ひとやすみこころのクリニック西新院
福岡市早良区西新4-8-23
理事長 柳原